こんにちは。ひさしぶりに新作のおしらせができてうれしいです。
神谷京介の連作短編小説、タイトルは「原子心母」です。
著 神谷京介
表紙絵画 Ringo
Kindle価格 700円(税込み)
発売日:2024年2月12日
今回、Amazonの電子書籍限定での発売となります。本来は紙の本として発売したかったところですが、予算の都合上叶わず、いったん電子書籍化にとどめる形です。好評をいただければ、また売り上げがたくさん上がればその資金で書籍化にもチャレンジしたいので、ぜひお求めいただければ幸いです。時間をかけて、ゆっくり、がんばって書いた作品です。
こちらからお求めいただけます。
収録作品のうち、「金枝」と「原子心母」の第1章をpixivで公開しています。
この作品は、「金枝」「原子心母」「外亜」という三つの小説から成っています。併せてだいたい本一冊分くらいの文字数です。それぞれ、きんし、げんししんぼ、がいあ、と読ませます。
金枝 について
どこにも寄る辺なさそうな孤独な青年、柳依沙(やなぎ いさ)が主人公の短編です。想いを寄せる少し年上の女性、初枝(はつえ)がいて、彼女の金色の髪の毛に依沙が執着する話となっています。
依沙は私より世代は下ですが、このころ生きていたらこうなっていたか、こうなっていてほしかったな、そうであってよかったな、というような話かもしれません。3作とも一貫して、大切なものは天上でも地上でもなく、自己の内奥にあるのではないでしょうか? と訴えかけるような作品だと思いますが、それがわかりやすく書かれている作品かと思います。彼は自らに理(ことわり、と読ませます)があると発見し、その触媒が絵画だったりもします。水を得た魚になった彼が、だけど社会的にはとても辺境に押しやられている、でもそここそが居場所のような気もしているのではないかな、などと感じます。
原子心母 について
この連作小説集の核となる表題作です。カフーとモア、二人の子どもが山の上の秘密基地から町を望んでいて、語り手(依沙?)は最初こそ行動をともにするものの、彼らが年を重ね、思春期の成長を遂げていく手前で退場し、その後は純粋な語り手として物語を読むだけとなります。モアは舞踏を通して、カフーは回想を通してそれぞれが人生の一時期の苦境をくぐり抜け、その最中に生命の輪転を発見し、表現としてこの世界に印加しようとします。いろんなキーワードが想起できる綜合的な小説なので一言では表現しがたいですが、私にとって大切な作品です。
外亜 について
最後の作品です。短い物語ですが最初から最後までよくわかりません。視点も、依沙のものだったらしくもありますが、そうでなくても読めます。夢の景色のようで、ふとそこから醒めるような克明な描写もあります。外亜とは地球の外にかかる巨大な円環のこと(Over Earth)としています。あくまでも私小説でありたかった、という作者としての一介の秩序に対する生命の抵抗とも読みとれるかもしれませんし、そのような読み方はしなくても結局楽しめます。
おわりに
私小説から子どもの世代へ向けて書いていく過渡期の作品として、私が小説を書き、小説の中で彼らがこれらからも生きて動いていく上で必要だった作品、と形容します。表現が難しいですが、なくてはならない継ぎ目のような作品で、でも、いつもと変わらず普遍的な物語であると思います。キーワードは、「生命」「円環」「再生と再死」。
また、制作にあたってはいろんなトピックをあらためて考え直す機会にふれました。この物語の内容にも関連してくるそれらについて、いくつかブログでも投稿していきたいと考えています。夏休み、秘密基地、蛾、虫と生命、金枝篇、ピンクフロイド、など。個人的な思い出話以上の価値はないかもしれませんが、どんな小説なのかちょっと知るヒントには多少なりそうです。
では、またちょこちょこブログ更新・宣伝いたしますので、世瞬舎の活動再開とともに見守ってくだされば幸いです。
【神谷京介にコーヒーをおごってみよう】
ko-fiという投げ銭サービスです。PayPalがあれば利用可能だと思われます。いただいたサポートはとりあえず名のとおりコーヒー☕一杯分ほどの休憩をさせてもらうために使いたいです。ドル表記ですが日本円換算で普通に支払えます。
もっと巨大なお金はちゃんとお金を持っているところからもらおうと、また不穏な計画を立てていますがそれはそれで別途進めていきます。ko-fiで生計を立てようなどと考えてはいません。気軽なチップ文化が日本にも広まればいいかなという願望も込めて、いつもどおり、隣を気にせずとりあえずやってみるの精神で。