超時空の夜

作家/ちいさな出版社「世瞬舎」代表 

第四話「月夜の下で抱きしめて」の話 もしI(もしも世界から「I love you」という言葉が消えたなら)

 

『もしも世界から「I love you」という言葉が消えたなら』、通称もしIは、百瀬七海さん著、全6話の青春恋愛・短編集です。

 

seishunsha.thebase.in

 

↑のオンラインショップから「購入予約」ができます。到着日は、発売日当日の5月26日を予定しています。

 

【目次】

Prologue
第一話「星に願ったロマンス」 
第二話「生徒会長の悪戯な誘惑」 
第三話「愛してキス、恋してきゅん」 
第四話「月夜の下で抱きしめて」 ▶今日はこちら紹介します
第五話「いちごミルクレボリューション」
六話「たったひとつの恋

 

 二年生の永井麻理絵(ながいまりえ)は、中学時代から同じクラスだった安西優斗(あんざいゆうと)に声をかけられたことがきっかけで、放課後、毎日一緒に帰るようになります。その日常が続きつつも、麻理絵は優斗くんへの気持ちが恋なんじゃないか、と気づきはじめます。

 

 もしIにはいろんなタイプの男の子が登場しますが、シャイで口数少なめの優斗くんは、保健室のベッドに押しかけてくるグイグイ系の新田先輩(一話)や生徒会長(二話)などとはまたちがった魅力があります。

 麻理絵が週直のときは終わるまで待ってくれたり、車道側を歩いてくれたりと、大切に思っているがゆえの気づかいが表れていますが、一緒に帰る以上のことはこれまでなく、「もしかしたらなんとも思ってなくて、帰る方角が一緒ってだけかも」と思わせてしまうくらい、お互いに控えめで、静かに物語が進んでいくのでした。

 

 この二人がどうにかしてちゃんとくっついてくれないか、大人としてはやきもきしながら読むほかないのですが、物語が進むにつれて、お互い徐々に近づいていこうとする誠実さや、真っ直ぐな気持ちが見えてきます。

 プラス、意外と甘いものが好きな優斗くんなどもツボです。何度読んでもかわいいです(?)

 

 少し日が落ちた月夜の下で、二人はどんな言葉を交わすのか。このシーンは、淡い月の光が見えるようで、とても美しいと思いました。