超時空の夜

作家/ちいさな出版社「世瞬舎」代表 

2023.10.22

 いつもどおりのあいさつと化していますが、お久しぶりです。

 1週間くらい仕事が手につかず、自宅待機していました。またうつ傾向が強くなってきていたようで、これはまずいなぁと思って、本格的になる前に休んでいました。

 数日経つと落ち着いてきて、かねてから取り組んできた小説の構想を練ったり、読書や調べものができてきました。そのことでやっぱり、私はなにも頼まれなければ小説を書きたいのかなぁ、などとあらためて思ったりもしました。

 

 後れている「世瞬」の制作含め、今日から徐々に再開していきたいのですが、今後もこのようにご迷惑をおかけすることはあると思います。これはもう直せないのかもしれません。実行力という点で驚くほど欠けているなと感じます。エネルギーが少なすぎるというか、人にものを頼む行為が根本的にきついと感じています。

 

 現代社会においておおむね人に危害を加えない範囲での欲は肯定されている傾向にあります。有名になりたい、お金持ちになりたい、彼女がほしい、など。

 それがストレートであれば相手にも伝わりやすいのかなと感じます。

 

 私は、もっといえば人は、媒介する立場だと思ったりもします。出版と小説を通して、これから先出会う人、それは直接的にいえば読者であるはずですが、そこにとどけるための中間業だと思っています。それは作家にしてもそうです。

 ただ世間の風潮として、やはり自己実現という枠組みでアプローチしてしまったほうが圧倒的にわかりやすいです。むしろ現代はそれ以外の幸福を忘れている人が大半かもしれません。

 

 Youtubeで流れてくるクソみたいなCMや、SNSに流れてくる謎のご高説、職場に溢れるクソみたいな小言など……個人という尺度で物事を見る限りこの世は地獄に溢れています。それだけ満たされていない人が多いのだと思います。その近視眼的過ぎる物差しをこちらに当てはめないでほしいと強く思います。

 

 ただ一番の問題は私自身が社会で生活をしている個人だということです。媒介となり、隣人の力になる、それはだれもがどこかでできていることで、私自身もできているはずなのに、資本主義社会はそこに留まることを許しません。もっと金を持て、もっと金を使えと急かしてきます。

 結果、私自身が一番私に興味がないのに、個人としてどうにかしなければいけない問題が山積していきます。この大いなる矛盾がいつも私を苦しめます。

 

 私はよく自分を天才だと思うと言いますが、これは「だからすごいだろ」と言いたいわけではないです。せっかく天地から授かったものを、この天地人のために使わず、個人のさまざまな些事の結果、終わってしまうのがとても悔しいのです。

 授かったものをお返しする、それこそが私の幸福であるかのように思います。100mを9秒で走れたからといってなんになるのでしょう。とてもおもしろい小説が書けるからといってなんになるのでしょう。巨大な宇宙の視点でみると、70億分の1であってもそんなもの、まばたきほどの誤差でしかありません。ただしそれは人間が人間であるための、とてもいとおしい誤差であり、そんなことをどこかで言いたいです。

 

 少し前、こんな話を聞きました。「どこか下に見られる要素があったほうが人から愛される」的なものです。たしかにそうだよなと思います。私は端的にいうともっともっと人に疎まれたり、あいつだめだな、どうしようもないな、と思われたいのですが(そのほうがいろいろと楽なので)、その「思われ方」を上手にできればきっと世界が開けてくるなとも感じました。

 

 私自身が人を上とか下とかで見ないので、想像の範疇でしかないのですが、下に見られる要素だらけです。借金ある、仕事ない、離婚した、売れない、暗い、うつ病、約束を守れない、などなど。ただそういった個人としての要素になにより自分自身、興味がなく、うまくプロデュースすることができません。

 この評価経済社会を生き残るためには安易なヒロイズムにもっと浸るべきなのに、それがそもそもつかれるのです。頑張って適応しようかなとも考えた時期もありましたがやっぱり合わないことは徹底的に合わないです。いいからだまって自分という存在をラジコン操作したいです。でもそれはできません。子どもの寝顔を見たり、人としての幸福はやはり手放せないからです。

 

 矛盾は苦しいけれど好きでもあります。生命とはそれでしかないはずです。もやもやが晴れてしまえば、それはそれでちょっとおかしいです。だからただ明るく生きればよいのでしょう。

 

 とはいえ、外在的な要素を本当になんとかしなければいけないなと考えています。頭の中にあることを実行できない、それだけのリソースがない、人生のフェーズにズレが生じることが一番悔しいです。できるならば手伝ってくれる人を探したいですが、今のところなにも与えるものがなく、出世払いになってしまいます。ただ、多くの人の未来を明るくすることについて考えるのは、けっこう楽しいかと思います。

 

 私はなんだかんだ楽しくやっています。あんまり困っている感を出しすぎて「くれ、くれ」になるのがそもそも自分が辛いというのもわかってきました。だって自分はなにも欲していないのです。家族と友人と、楽しめるべき広大な世界がここにはあるので、十分なのです。

 

 でも、もっと楽しくやってくにはいろいろとご協力が必要かと思うので、気軽にお声がけください。あと、もっと気軽に人のためになりたいです。たぶん小説の下読みは少し得意で、フィードバックも少し変態的な視点でできるので、声をかけてくださったらおもしろいかと思います。※無料です